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愛社精神100%!現地法人化に夢を見出した男

サイボウズベトナム齋藤代表とビジネスバックパッカー現地ベトナムと関係を持ってから約3年、いよいよベトナムに日本大手のグループウェアソフト会社サイボウズが2008年12月にベトナム現地法人を設立した。
 ベトナム進出当時より関わり、今回の現地法人化を機に代表として日本人として一人ベトナムにやってきた齋藤晃一さん。彼がこの地にやってきた目的と、そこで感じたことは何だったのだろうか、取材はここからスタートする。

企画担当としてベトナムへ行くチャンス
 齋藤さんが、この地ベトナムにやってきたのは、2006年。サイボウズが、協力会社と組んで、ベトナムでビジネスを始めていた頃に遡る。齋藤さん自身は、プロジェクトの企画担当者として、ベトナムにやってきた。
その直前、縁もありベトナムを視察した際、ベトナムに魅力を感じたという。その後、新規プロジェクトで開発リソースを探していた際に、ベトナムで行わないかという提案に賛同し渡越した。

 基本的には海外に行くということはなく、学生時代にアメリカでのホームステイ経験のみ。国際経験はほとんどなかったそうだが、4ヶ月のベトナム滞在の中で、彼にとってベトナムは、生活そのものが楽しく、ベトナム人の人柄が好きになったという。

サイボウズベトナム「あまり環境が変わっても気にしない方なので、生活の変化は気になりませんでしたね。当時は、ネット環境が本当に悪く、それに関しては・・・でしたが。だからといって帰るという選択肢はなかったですね。他プロジェクトの関係で、ベトナムを後にしましたが、この4ヶ月でベトナム人の人の良さなどを知り、又行きたいなと思いました。」

再びやってきたベトナム、そこは日本と似ている文化背景を持っていた
 会社がベトナムでの経験を活かして、現地法人を立ち上げる事になった。齋藤さんは真っ先に設立に向けて手を挙げたという。

「海外で法人設立などというミッションは普通やりたくてもやれないですよね。幸いにも自分はベトナムでビジネスをしたという経験もありましたから、これはチャンス!だと。」

 そもそも、彼が何故ベトナムに興味を持った理由はその文化背景からもなる。

「ベトナム人って私が思うに日本人的なところがあるんですよね。宗教なども基本こちらは仏教なのですが、クリスマスを取り入れたりといった柔軟さがあります。つまり文化的に固執していないというところが付き合いやすいですよね。もう一つは、集団に対する思いの強さ。私は、会社に対して強い帰属意識を持っていますが、彼らが会社かどうかは別として、例えば家族といったものに強く帰属している。自分がどうこうという自己主張よりは集団に対してコミットしているところが好きですね。」

 もちろん、文化背景は日本とベトナムでは違うものがある。しかし、また共通的なところもあり、齋藤さんにとっては文化・宗教に対する柔軟さや、帰属意識などに次第にベトナムという文化に惹かれていった。

グループウェア会社として感じる日本と海外との違い 
サイボウズベトナム齋藤代表
 そもそもサイボウズといえば、グループウェアの会社であり、もちろん社内でも利用されている。筆者が取材した際にも、実際の使っている画面を一部見せていただいた。

 そこには自身のスケジュールだけではなく、他者のスケジュールを見ることができ、必要があれば他者のスケジュールでも、空いている箇所に勝手にミーティングや面談を入れることができるという。なんと社長のスケジュールにも書き込めるというから驚きだ。

 齋藤さんのスケジュールには筆者との取材『ビジネスバックパッカー大原さん来社』という予定も書き込まれていた。「私はプライベートな予定も入れているので、面白そうな事が書いてあれば、結構クリックやコメントがあったりしますよ(笑)」との事で、実際そういった予定を書き込んだりと遊び心を持って使用されているようだ。

 では、それが同じように海外でも利用されているのかといえば、そこには各国での価値観が現れるという。

「同じもの(日本語版)をベトナムでも、使っているのですが上手く機能していますね。例えば面接の予定なども見れるようになっていますから、他のスタッフが入れたり。掲示板の機能は結構人気で、頻繁に更新されています。」

「ベトナムでは、以前からスカイプやチャット等が流行っています。ですから、採用面接などで我々はこういったグループウェアを作っていますというと、『楽しそうですね』という返事が返ってきます。
 ただ、アメリカだと、ちょっと受け入れられにくかったですね。個人でスケジュールを管理することが一般的であり、他人に自分の予定を見せることを好まないので。ですから以前弊社がアメリカで展開したときにはあまり反響がありませんでした。今はGOOGLEがグループシェア的なソフトを出したりと、もしかしたら少しずつ変わってきているのかも知れません。そういった面では逆に、アジアでは受けが良いようです。弊社のソフトもアジアでは最近需要があります。現在は、世界に進出するに当たって、日本での知名度を活かす意味で、アジア各国の日系企業にアプローチしています。しかし、当社の製品は、社員の方がパソコンを業務でお使いでないと利用できないため、アジアでは一部の企業にしかアプローチできないですね。」

 グループウェアというのは筆者もエンジニア時代から使っており、他者とのスケジュール管理ができたりと、非常に便利だと感じるものがあった。だが、これもまた国民性によって異なるようである。又、グループウェアを使いこなす会社だからこそと感じさせられるコメントがあった。

「ベトナムだからグループウェアが機能しないかというと、先ほども申しましたが、結構上手くいっているんですよね。ただ、逆に時々あれっ?と思うのが日本とのやり取り。相手が何を考えているのか分かりにくいときが在ります。やっぱり人と人ですから直接的なやり取りというか、『何か、一言声をかける』ってとても重要だということはベトナムに来てからより感じるようになりました。ベトナムでは、国柄から人前で叱らないことは気をつけていますが、幸いにも我々にはグループウェアがありますので、個別チャネルを使って連絡したりします。もちろん直接話すこともありますが、そこは使い分けですね。」

現地の駐在員代表としての責任感
 元々、企画担当製品に対する責任者であったが、現在は代表として組織に対する責任者となった。ただでさえ日本と勝手が違う中でどんな事を考えるのであろうか。

「社員に対するコミュニケーションから、仕事や採用に関するオーダーといった日本に対する説明が難しいですね。例え20人であっても彼らおよび家族の生活に対しての責任感は常々感じます。自分は日本にも席がありますが、尻尾を巻いて逃げ出したら駄目だと。
 会社からは2年と最初いわれていますが、今はまだ分かりません。しっかりしたものができてからだと考えています。できれば今後は現地の人がやってくれれば良いと思うのですが、次の責任者が誰がなるかも分からないですし、それまでにしっかりしたものを作っていく責任がありますよね。」

「もう一つ難しいと感じるのは、言葉の意味。サイボウズって結構言葉にこだわるんですよ。例えば、理想と現実というものがあるとすれば、その意味は?と。これをベトナム語にして伝えるのは中々難しくて、日本だと同じような意味でも、言葉や漢字が違ったりするじゃないですか。それでニュアンスが伝わったりと。
 そして、私自身まだベトナム語も英語も堪能というわけではないので、言いたい事を直接いえないという点が困ります。もちろん通訳を使えば良いのですが、言葉のニュアンス的なこと、先ほどの社風の話し同様に伝え方が難しいですよね。」

IT企業に勤めるベトナム人
 ベトナム人といえば、女性は勤勉で男性はブラブラというステレオタイプがあるが、少なくともIT系に来る人たちは少し違うと言う。採用を含め仕事におけるベトナム人について次のように語った。

「日本で企業研究をせずに面接にこれば採用は難しいですが、ベトナムでは企業研究をする人なんて稀ですからね。ましてやサイボウズはベトナムでまだ認知があるわけではないですから、面接に来てから会社を説明するというところが違います。当社はベトナムでは大きい会社ではありませんから、立派なスキルや経験を持った候補者には、なかなかお目にかかれませんので、性格や地頭的な部分を重視して採用活動を行っています。」

「仕事は皆真面目にやってくれています。うちは家庭を持った女性の割合が多いんですよ。ですから、半分近くは、定時の5時に帰っていきます。ベトナムは産休が法廷で4ヶ月ときまっているのですが、出産直前の2週間ぐらい前まで働いてくれたりします。産休明けもきちんと帰ってきてくることは嬉しいです。ただ、今年はなんと3人が産休ですからね。その点はちょっと困っていますが(笑)」

今後について
「サイボウズベトナムのHPも立ち上げないといけないですよね。そして、サイボウズの文化の浸透と、次期リーダーおよびスタッフの育成にはどんどん力を入れていきます。
 私自身は元々立ち上げが好きなんですよね。今後もこういった機会があればやりたいなと。 昔、10年後の自分みたいなことを書いたとき、1年後はベトナムで、5年後はチェコ、って書いていました。そして10年後はマッサージ屋(笑)疲れたIT系社員を癒すみたいな(笑)人のために何かするのは好きなんですよね。
 まずは、ベトナムで一緒に働いいるスタッフのためにも頑張っていきます。」

取材を終えて
ビジネスバックパッカーとサイボウズベトナム
 今回の取材は私自身にとって、お会いする前からとても興味がありました。それは、「日本では当たり前のグループウェア」というものが、ベトナムでどう受け入れられるかという点。話を通して感じることは、ベトナムで高等教育を受けている人たちにとって、これは非常に適応性があるということ。それは、話の中にもあるベトナム人の集団性の強さと開放的感覚。

 日本のIT企業の多くは今まで、国内需要という点で目立つところがありました。IT企業によるワールドワイドなものづくり視点。今後に期待です。

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